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「君は、この帯水の人達にとって、神と同じ存在なんだ。だから、君はこの場所から離れることは出来なかったんだよ」
「私が...?」
「そう、茉莉が。君は、この帯水を救った人だから。だから、人々は君がこの地で存在し続けることで、もう天災に見舞われないことを強く願い続けているんだ」
「...そんなの、勝手すぎるよ」
「...そうだな。人々は、自分たちがどれほどの力を持っているかを知らないし、無意識のうちにそれを使っていることに気づいていないんだ。だから時に人々は人を傷つける」
丞はしゃくりあげている茉莉の背中を優しくなでた。
「君が怨念をぶつけて人々の命を奪い、神主にお祓いという形の縛りを課された時もそう。あの神主でさえも、君に縛りを与え続けることは出来ない。だから君は縛りから解き放たれ、再び怨念をぶつけ続けた」
「だって...!」
「分かってる。縛られれば縛られるほど、君は理不尽さを感じたんだよね。『どうして私がそこまでしなきゃいけないの?』『私の願いは叶えられなかったのに』って」
「うん...」
「だから、縛られれば縛られるほど、君の怨念の力は強くなっていた」
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