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そう言うと、茉莉ははっとしたように振り返った。
「どうかした?」
「私が襲いかかってしまった彼らは...?」
心配そうに茉莉が丞に言うと、ふっと笑って言った。
「大丈夫だよ。数時間で術が解けるようにかけたし、目覚めた時はなんであの場所にいたのかもわからないんじゃないかな」
「どうして...?」
「嗣紀龍祭や君に関する記憶も、録画されたデータも消しておいたからね」
その言葉に、茉莉はとても驚いた。
今は丞の力で浄化され、本来の茉莉に戻ることが出来たとはいえ、先程まではとても強い力を持っていた。
そんな彼女が、術をかけたり呪い殺すのにどれだけの労力が必要かを知らないはずもなかった。
彼らを守るだけでなく、目覚めた後のことまで考慮して術をかける丞がどれほど凄いのかは、言うまでもない。
「丞は...、一体何者なの?」
茉莉の不思議そうな問に笑いながら、丞は「時直にわかるよ」と言った。
* * * *
音明神宮の比にならないほどの階段を上りきった2人は、ついに主の元へとやってきた。
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