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チラッと丞をみて聞く茉莉に、微笑みながら頷いた。
「もう、君は自由だ。ここで成仏してもいい。ただ、出来ることなら君の力が借りたいのだ」
主の言葉に俯いた茉莉。
ゆっくりと視線をあげ、丞の方を見た。
その視線に気づいた丞は微笑みかけ、「君の好きにしたらいい」と言った。
「茉莉、やってくれるな?」
「...はい!」
主の問いに、輝かしいほどの笑顔で答えた茉莉。
(あーあ、言っちゃった)
『...丞』
(ひっ?!)
「...直接話しかけて来ないでください」
「丞...、わかっておるな」
「...はい」
茉莉が独り立ちするまで、丞が茉莉の世話役になる。
正直、現世であれほどの貢献をした自分が、またこの世界でも自由に出来ないのかと思うと、未だに納得できない部分もある。
ただ、あの時の自分とは大きな違うところがある。
理不尽に奪われた命。
勝手に作られた自分自身の役目。
それを背負っていたあの時より、こうして自分で自分の道を選び、歩んでいる今の方がいいと心から思う。
なんだかんだ言って、自分のような存在を救う今の役目を誇りに思っているし、やりがいがある。
自分自身を誇ることが出来る。
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