1人が本棚に入れています
本棚に追加
ため息をつきながら、彼女に背を向けて歩き出した。
背後で彼女の気配が変わったのを感じる。
鴉が丞の肩に乗り、静かに鳴いた。
「...まだだよ。彼女はまだなにもしてない。あの子だって確信ができるまで、様子見よう」
丞の言葉を聞いて、呆れたように鳴いた鴉は、またどこかへ飛んでいってしまった。
提灯が灯り、町では祭りの活気が最高潮になった時だった。
あれから数時間。
太陽が沈み、闇が辺りを包み込む。
音明神宮の閑散とした空気が、より重みを増している。
そんな時だった。
喋りながら階段を上ってくる物音が聞こえる。
「おーい、こんな階段あるなんて聞いてねぇぞ...」
「しょうがないだろ、これも再生回数のためだよ」
「そうだけど...、本当にいるのかよ」
「いてもいなくても、面白おかしくしてやるよ」
(あーあ、来ちゃったか...)
(まぁでも...、彼女がどうするのかを見られるチャンスか)
そう思いながら、階段を上りきった彼らは、カメラを回し撮影をし始めた。
おどろおどろしい雰囲気で嗣紀龍祭についてを語った後、カメラを回しながら境内を歩き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!