立浪草

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ため息をつきながら、彼女に背を向けて歩き出した。 背後で彼女の気配が変わったのを感じる。 鴉が丞の肩に乗り、静かに鳴いた。 「...まだだよ。彼女はまだなにもしてない。あの子だって確信ができるまで、様子見よう」 丞の言葉を聞いて、呆れたように鳴いた鴉は、またどこかへ飛んでいってしまった。 提灯が灯り、町では祭りの活気が最高潮になった時だった。 あれから数時間。 太陽が沈み、闇が辺りを包み込む。 音明神宮の閑散とした空気が、より重みを増している。 そんな時だった。 喋りながら階段を上ってくる物音が聞こえる。 「おーい、こんな階段あるなんて聞いてねぇぞ...」 「しょうがないだろ、これも再生回数のためだよ」 「そうだけど...、本当にいるのかよ」 「いてもいなくても、面白おかしくしてやるよ」 (あーあ、来ちゃったか...) (まぁでも...、彼女がどうするのかを見られるチャンスか) そう思いながら、階段を上りきった彼らは、カメラを回し撮影をし始めた。 おどろおどろしい雰囲気で嗣紀龍祭についてを語った後、カメラを回しながら境内を歩き始めた。
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