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それほどまでに、彼女は追い詰められていた。
「邪魔しないで...!」
彼らに手出し出来ないと分かると、今度は丞に向けて攻撃してこようとする彼女。
それを見た丞は、パチンと指を鳴らした。
すると、まるで何かに操られたように動けなくなった彼女は、目だけをきょろきょろと動かし、必死に逃げようとしている。
明らかに強い力を持つ彼女でも、丞には敵わない。
怒りと共に、驚きと恐怖が彼女から滲み出ていた。
「...大丈夫。僕は君の味方だ」
そう言ってゆっくり近づき、ついに手が届くところまで来ることが出来た。
「君、名前は?」
丞がそう言うと、ぱっと口が開いた。
口が動いたことに、いや、口だけが動くことに驚きながらも、彼女は答えた。
「...茉莉(まつり)」
「茉莉ちゃん。いい名前だね」
丞がそう言うと、茉莉の視線が一瞬落ちた。
「あなたは誰?何者なの?」
不愉快そうな彼女は、丞を睨みつけた。
「僕は丞。君を迎えに来たよ」
「迎えに...?」
「そう、僕は神の使いで、君を天界へと連れていくのが僕の任務でね」
「今頃どうして?!私は...!」
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