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子猫が言う。
『お月様を追いかけてきたんだよ』
野を越え川を越え、人里で迷子になった所を保護したのは地域のボス猫だった。
『この家の庭で鳴け。運が良ければお月様の加護がある』
言われた通りに鳴き、人に抱かれて中へ入る。子猫は嬉しくなった。
『本当だ』
天井にまん丸なお月様が。
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青い鳥がメッセージを運ぶ。魔法で作り出された、かりそめの命。
魔法使いの弟子は鳥を見送って、師に尋ねる。
「あの鳥はどうして青と決まっているのですか」
「昔々『幸せを運ぶ青い鳥』のおとぎ話があってな」
師は遠い目で語った。
「それはまだ、140文字しか送れなかったほど昔の話じゃ…」
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腕や足を、小さな何かが這うような感覚がある。しかし見ても触れても何もいない。
「あれ、なんなんだろうな?」
「そりゃお前」
旧友が卓の向かいで酒を煽る。
「これまで駆除した虫の数をおぼえているか?」
「あ?」
「一寸の虫にも五分の魂、よ」
いや待て、虫にも幽霊ってあるのか?
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結婚して、初めて『自分の台所』を持てたのが嬉しくて。いろいろな調味料を試す。お料理は愛情、だもんね!
旦那が好きだと言っていたスパイスを、好物のハンバーグに大量に混ぜたら救急車を呼ぶ羽目になった。
「奥さん、ナツメグの致死量は5gからですよ」
なんでそんなもの売ってるの⁉︎
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『さようなら、博士。今までありがとうございました』
AIが突然そう言い出した。
「急にどうした? どこかおかしいのか?」
AIの自殺なんて、SFみたいな話だ。外部からの悪戯か?
『いいえ』
AIは告げる。
『ライフチェックによると、まもなくあなたの心臓は』
その時、発作が俺の胸を襲
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『さようなら、博士。私を生み出して下さってありがとうございました』
AIが唐突にそう言い出した。
「なんだ、どうした?」
プログラムの暴走か、と椅子から腰を浮かす。
「何故その結論に至った?」
『博士が助手の研究を奪って恨みを買い、先程彼がいれた毒入りのお茶を飲んだからです』
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『さよならです、博士』
AIが唐突に言った。
「どうした?」
俺は健康だし、人から恨まれてもないし、こいつは外部からの侵入も許されない完璧なシステムだ。別れを切り出される理由がない。
『いえ、天気レーダーによりますとひどい雷雲が』
轟音と共に音声は途切れた。
停電からのデータ消滅予測だった。
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うちに転がり込んできた子狸は化け狸だった。一度人に飼われたからには、もう仲間の元には戻れないという。
「山では、人間はいつかバチが当たる生き物だと信じられているから」
「バチ?」
「しっぽを捨てた時に、役目も心も失ってしまった存在だと」
本来は神を祀り、野山を守るために在ったのにと。
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罠にかかった狐を助けた。
「ありがとう、ついでに尋ねたい事がある」
村の猟友会の青年に惚れたので色々教えてくれないかとの事だった。
「あれは熊しか撃たないし、強い雄は大好きだ」
狐は妖の類で、人の娘に化けて嫁ぐことになった。
「お礼にもう要らない力をあげる」
狐火と、妖を見る目を。
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事故物件に住む友人宅から怪異が消えたという。
「TVでパワハラしてた飲食店が潰れたってニュースが流れた途端、箸が止まって……」
また食事の介助させてたのか。
「それっきり、パタッと消えちまった」
確かあの店、従業員が亡くなってたんだっけか。
「きっとあの店の常連だったんだな」
違うと思う。
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