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その日の真夜中、ふと目が覚めてトイレに行く。リビングの前を通ると、ジジイの給料袋がテーブルに置かれていた。俺はいたずら感覚で中を見る。その中には、万札が沢山入っていた。50万くらいあるだろうか。
「マジかよジジイこんなに稼いでんのか!?それなら小遣いくれよなクソ」
と思った。その時、ふと寝る前に見たサイトを思い出す。
「あるな…30万」
と思うとバッと給料袋を手に取って部屋に戻る。そしてサイトを開き、申し込み画面を開く。
「期間は最大期間で…更新通知はオンかな…よっと」
選択をして個人情報を入力する。そして申し込みボタンをクリックすると、振込先情報が表示された。そこには30分以内にお振込みください、と書かれていた。
「30分以内!?今何時だと思ってんだ!」
と言い急いで着替えてコンビニのATMに向かおうと部屋を飛び出した。すると、姉とばったり廊下で会った。
「何、どっか行くの?」
「…コンビニ」
「こんな時間に?」
「別にいいだろ」
「気をつけなよ、夜遅いんだから」
と姉はトイレに入った。
俺は親を起こさないように静かに家を出て、コンビニまで走った。時間は深夜2時。少ない街頭と同じような見た目の新築の家々が並ぶ下り坂を走った。僕は残された時間がどれくらいかわからなかった。だから走り続けた。コンビニに到着して、初めて使うATMを操作して写真を撮っておいた振込先情報を入力し、30万の札束を突っ込んだ。僕は時間が気になり、店の中の時計を見る。ギリギリ30分経っていない。僕は安堵して一応コンビニに行った痕跡を残すために小さなプリンを買った。
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