最高の家族

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家に帰ってプリンを冷蔵庫に入れ、急いで部屋に戻りサイトにアクセスした。 「振込が完了致しました。たった今からあなたの家族は理想の家族になりました。」 と表示されていた。今から?てことは既に入れ替わっているということか。 様子を見てみようと思って、こっそり部屋を覗く。両親は見た目的には変化なし。寝ていてわからなかった。変化があったのは姉だった。姉の部屋は煌々と電気が点いており、ガリガリと机に向かっていた。何か描いているようだった。姉は振り返り、 「あれ、起きたの?」 と声をかけてきた。 「あ、あぁ、うん。ちょっとトイレに。な、何してんの?」 「締切が近くてね」 「締切?なんの?」 「何言ってんの、私は漫画家のさかたゆいでしょ!漫画だよ!父さんも母さんも認めてくれてないけど…今度こそ連載作家になるぞー!」 「あ、あぁ、そうだったな。頑張れよ」 「うん!」 と机に戻りガリガリと漫画を描き始めた。俺は部屋に戻って「さかたゆい」と検索した。すると、漫画家として出てきたが、打ち切り漫画や読み切り漫画ばかりが表示された。その様子から大して稼げていないようだった。作家志望だった姉がなぜ漫画家なのだろう。よくわからないなと思いながら眠りについた。
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