最高の家族

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起きると、昼の11時くらいだった。いつも通りの時間だ。お腹がすいたなと思い1階に降りる。すると、机の上にラップが掛けてあるオムライスがあった。横に紙が置いてあった。 「今日のお昼ごはんです。電子レンジで温めて食べてください 母 」 と書いてあった。こんなことする親じゃないし何よりオムライスなんて1度も作ったことないはずなのだがこれ如何に。試しに温めて食べてみた。 「えっ美味!?こんなの作れるの!?」 と声を出してしまった。 「うわなに、大声出して」 と姉が声をかけてきた。 「うわびっくりした」 「こっちこそびっくりよ、何、どうしたの」 「い、いや別に。オムライスが美味いなって」 「あんたはいいよね〜私にそんなもん作ってくれたことないわ。さて、レトルトカレーとかあるかなー」 と棚を漁る。嘘だろ…?昨日までは俺がそうだったじゃねえか…! 「そ、そうか、大変だな…」 「何よ、今まで話しかけてこなかったくせに」 と何も無かったのかイライラした様子でリビングから出ていった。 姉は俺以上にめんどくさい人間になっていた。大学在学中に偶然漫画が大賞を取れてしまいデビューして大学を中退するも、その漫画は段々人気が落ちていき打ち切りになり、長期連載は取れていないという。所謂売れない漫画家であり、家に寄生しているようだ。それで家に居場所が無くなり、家族とのコミュニケーションはほとんどないようだ。姉は俺以上の「落ちこぼれ」になったのだ。  母の帰宅後、夕食の時間になったが、母は姉ではなく俺を呼んだ。ちょうどゲームの手が止まっていたので珍しくリビングに降りてみる。こうやってリビングの自分の席に座って夕食を取るのはいつぶりだろうか。なんだか妙に気まずかったが、母はそんなことお構いなしで話し始める。 「お姉ちゃんはほんとどうしたらいいのかしら。今から再就職は無理だろうし、大学に行く費用もないし…」 「再就職とかしたがってんの?」 とこれまた久しぶりに母に対して言葉を発した。 「ガン無視よ、部屋には目指せ連載作家、なんて書いてあるからこのまま引きこもり続けるんじゃないかしらね」 「お腹空かないのかな」 「それどころじゃないって随分前に言われてそれっきり。輝は調子どうなの」 「ぼ、ぼちぼちってとこ」 「早めに治療始めてよかったわね〜何かあったら言うのよ」 母との会話にはとてつもない違和感があった。母の俺に対する言葉はまるでかつての姉に向けられた言葉のようで、姉に対する言葉はかつての俺への厄介者扱いそのものであるのだ。 「俺の病気ってなんだっけ」 「何言ってんの、統合失調症と不安障害でしょ」 その2つは姉がかつて抱えていた病だった。
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