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身支度をして、健太たちは外に出た。
祖父の年季の入った乗用車に乗った健太は、シートベルトをして高まる感情を抑えつける。
場所がどうこうではなく、彼女に会える事実に胸が弾んでしまうのだ。
「おじいちゃん、ありがとう」
「な、なに……別に大したことじゃない……みんな褒めてたぞ、健太のこと」
「ふふ、そっか……」
親戚はみな、今日の午前に帰ってしまった。
祖父の家は穏やかで静かな空間に戻ってしまったが、なんとなく健太はもの悲しさを感じていた。
2日間だけの騒がしい日々だったが、あの時間を思い出すと頬が緩んでしまう。
「来年の夏休みも絶対来るよ、またみんなに会いたいし……それにここでも友達をたくさん作りたいんだ」
「……そうか、じゃあじいちゃんが色々なところ連れてってやる」
「ふふ、ありがとう」
「そ、そういえば健太はモテるのか?」
「お義父さん……」
「いやすまん……別に深い意味はないんだが……まあ誠一も浩二もあんなんだが女には好かれていたからな……健太もそうなんじゃないかと思ってな」
「ふふふ……モテるよ」
「ケンちゃん!それどういうこと!?」
「あはは、女の子にも告白されたし」
「お母さん聞いてないよそんなこと!」
「聞かれてないからね」
「そうかそうか、だがな健太、人を見る目は養わなきゃならんぞ?お前にはまだ分からんと思うが、世の中には色々な人間がいる……特に女は……じいちゃんも何度も痛い目見たからな……」
「お義父さん!」
「ああ……すまん」
おじいちゃんは申し訳なさそうな顔で母に謝った。
それを見て健太は声を小さくして笑う。
「おじいちゃんの一族はみんな女の人に弱いんだね」
「ケンちゃん!」
「まあな……でも最後はいい人に出会える……じいちゃんも結婚は1度しかしてないし、ずっとばあちゃんと一緒にいるけどな……後悔したことはなかったぞ、もちろん浩二もだ」
「お、お義父さん……」
「騙されて辛い目にあって……僕たちは宝石を見つけるんだね」
「ふふ、そうだな」
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