最期まで

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「サリメリ様だ……」 「ああ?ただの伝説だろ?」 家族が話す声が居間から聞こえてくる。 祖父の態度が厳しくなった後、わけもわからぬまま健太はお祓いを受けさせられた。 理由は説明してくれなかったが、事の重大さは健太にも分かっている。 予定では明日の朝いちばんで健太たちは家に帰るつもりだ。 当然健太は混乱した、今の状況うんぬんよりさっちゃんに会えないことが彼の絶望をくっきりと形どったのだ。 「……さっちゃんに会わないと」 健太はこのままさよならなんてつもりは毛頭ない。 どういうことなのか、彼女から直接聞きだすつもりだ。 トイレに行くと寝室にいた母親に嘘をつき、抜け出してきたのだ。 祖父たちの話を聞いていたがったが、さっさと逃げないと捕まってしまう。 健太はトイレに行き、用を足さずに窓を開けた。 裸足のまま窓から家を抜け出し、彼女と思い出をたくさん作った山に向かう。 今は真っ暗な夜だ、彼女がいる確証はない。 しかし健太は走った……さっちゃんに会うために。
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