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「こんなに続けて滑ったら上達を感じる」
「俺も」
初めて美奈とスケートに来てから、一度夜に滑りに来て、クリスマスの今夜で3回目だ。彼女は休み、俺は仕事のあとスケートリンク前で待ち合わせた。そして少し滑ってから彼女の家に行くことになっている。
「ただいまぁ~」
美奈が玄関から家のどこにいても聞こえる声で言うのは習慣らしい。小学生の頃から‘帰って来たって分かるように‘ただいま’って言いなさい。小さくて聞こえないなら言ってないのも同じ。そのまま家に上がれば不審者だよ’と言われていたという。
「「おかえり~」」
どの部屋にいても大きく返ってくるのも習慣だな。
「こんばんは」
俺も奥まで聞こえるように言うと
「いい声出るじゃない、恭平くん。いらっしゃい」
「どうぞ、上がってくれ」
野口夫妻が扉から顔を覗かせた。中に入ると
「すげぇ、いい匂い」
「お腹へったね」
ホットプレートでお好み焼きが焼かれている。お母さんの親は関西の人らしく、野口家でも結構な頻度でお好み焼きをするそうだ。
「私たちは、もう食べたのよ。今から焼きそばもするわね」
「クリスマス感はゼロだけど、うちのお好み焼き美味しいよ」
「うん。ちょっと食べる前に…いいですか?」
俺は3人を見て言うと
「美奈子さんとのお付き合いを、結婚前提のお付き合いにさせてください。お願いします」
ホットプレートに気をつけながら頭を下げた。
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