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「特に何も思いません。思う人もいるんでしょうけど、私は‘考えよう’とか‘診断しよう’と思ってカラーを見た時に判断するようにしています。そうじゃないと、目から入る情報にイチイチ反応してしまうでしょ?それはすごく疲れるもの…湊さんは目に入る建物にイチイチ感想を持つ?」
「持たないね。夕月の言うことが良くわかるよ」
「でも玲子さんはイチイチ感想を持つタイプですよね?」
「あったり~さすが夕月、私のことわかってるね」
玲子さんはご機嫌にビールをおかわりしている。彼女は何を食べていてもビールが好きなのだ。
「玲子さんのリノベとかリフォームの原動力は、既存の建物…目の前にある建物にケチつけるところなんだもの…いつも‘信じられない場所にドアがある’とかって言いながらニヤリとしてるでしょ?」
「そうそう、建てた人をディスりながら楽しく仕事してるの。あら探しの好きな私にぴったりの天職よ。で?ピンクさいとーをカラーで分析してみてよ、夕月」
「ゆう、金取れ。玲子さん、プロのセラピーや講習は有料です」
「私、プロの建築家に毎日のようにいろいろ教わってるよ?」
「それは玲ハウジングの仕事に含まれるだろ?」
「そうだけど…ここは身内のようなものだからいいよ?」
玲子さんに許可をもらって、私は副業としてカラーコーディネーターやカラーセラピストの仕事をたまにしている。どちらかと言えば、玲子さんから勧められたのだが…
「今、何も手元にないので頭で覚えていることだけで…正確な深い話は出来ないけど…」
「それくらいが酒のアテになっていい。玲子さんだけでなく、僕にも聞かせて」
「それなら俺も聞くけど…」
ピンクか…
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