揺れる者たち

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‘もう家?’ 「うん、今日は定時だった」 ‘そうか。ゆう、明日会える?’ 「…突然だね…明日何かあった?」 ‘何もないけど会いたい。この前送って行ったままだし、ゆうも気にしてるだろ?だからスーパーやカフェに行く1時間でいいから会いたい’ 「一緒にスーパーって…気にしてるのは恭平くんじゃない?気にしないで大丈夫だよ」 ‘気にしてるわけではなくって、ゆうに会いたい’ そう左耳のスマホから聞こえると、頭の右上の方に湊さんの顔が思い浮かんだ。昨日湊さんに会って、明日は恭平くんに会うってダメだよ。 ‘ゆうは俺と二人で会って、湊さんと二人でパーティーに行くってことを気にする?’ 昨日のことは知らない恭平くんだけれど、言っている意味はあってる。 「そうだね。道理に外れているんじゃないかって…考えるところ」 ‘そこは考えずに子どもになって、誘われたから行くってことでオーケーじゃないか?少なくとも俺は、湊さんとゆうがパーティーに行くこととその準備で会うことは知っていながら誘っているんだから’ 湊さんも私が恭平くんの部屋へ行ったことまで知っているけど、詳しく聞く訳でもなかったな。それでもね…私が誰ともお付き合いをしていないフリーだとしても、抵抗がない訳ではない。1時間…とりあえず1時間…恭平くん任せでなく自分で時間をコントロールして会えるところ… 「恭平くんの駅前にカフェがあるでしょ?」 ‘誰でも知っているチェーン店な’ 「そこで待ち合わせでいい?クリスマスツリー型のメリーホットチョコレートっていう今月限定ドリンクが気になってたから飲みに行く」 ‘よっしゃ、了解。何時?’ 「15時か16時は?」 ‘じゃあ15時な’
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