揺れる者たち

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恭平くんの電話を終えると、湊さんからメッセージが入っている。 ‘電話終わったら何時でもいいから僕に電話して’ 電話してくれて話中だったということか…玲子さんからも返事が来てるね。恭平くんにも送ったと書いてあるから、こっちはいいね。湊さんか… 「こんばんは。電話、すみません」 ‘いいよ。もう大丈夫?’ 「はい」 ‘今日、ありがとう。夕月が分かりやすく資料を置いてくれていて助かった。ほとんどのファイルを開けたよ’ 「良かったです。そのために作っているファイルなので」 ‘玲子さんも言ってた。まとめて、あの形にしてるのは夕月だって’ 「お客様向けに、建築家さん目線でなく素人目線で写真を撮って作っているのがいいらしいです」 ‘大使館を見て夕月がどういう感想を口にするのか楽しみだ’ 「プレッシャー…‘すごーい’しか言わない、言えないかもしれないのに」 ‘その‘すごーい’のニュアンスを読み取るよ’ 「ふふっ…高度な技術ですねぇ」 ‘夕月に会う度に鍛える。で、ドレスが今日出来上がって来たと連絡をもらった’ 「わぁ…いよいよって感じだ」 ‘楽しみだな。土日のどちらかで行ける?あの店、午後しか開いてないけど’ 「16時からっておっしゃってました?」 ‘そう’ 明日15時に恭平くんと約束したところだ…恭平くんは、道理など考えずに子どもになって、誘われたから行くってことでオーケーって言ってくれたけど、私は良心の呵責を覚える。太一のことがなくても、私の性格上同じように感じるポイントかな。 ‘夕月?都合が悪い?気分が悪い?’ 「あ…ううん…そうじゃないけど…」 ‘うん、今考えていたこと教えてくれる?言える部分だけでいいよ’
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