揺れる者たち

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「…湊さんと会って恭平くんに会って…また湊さんに会う…良心の呵責を覚えるんです…道理に外れているんじゃないかって…考えるところです…」 ‘それも夕月のいいところだね’ 「そうでしょうか…お付き合いしているわけではないからいいだろうというのもわかるんです」 ‘うん’ 「それでも…変なところで真面目すぎるのかな…」 ‘それも夕月のいいところだと断言するよ。だから、そう考えるのをやめろとは言わない。自分の考えや思いを‘はい。ポイ’と手放すのは簡単じゃないから’ 湊さんは‘考えるのをやめろとは言わない’恭平くんは‘そこは考えずに子どもになって、誘われたから行くってことでオーケーじゃないか?’…二人の言うことが異なっている。 ‘僕は嬉しい’ 「嬉しいの?」 ‘そう、嬉しい’ 「…分かりやすくお願いします」 ‘うん…僕が友人でなく男として夕月に意識してもらえていると感じて嬉しい。この電話が女性の友人…例えば玲子さんからの誘いだったら夕月はそう考えなかったと思うから’ 「ぁ…」 言われてみるとそうか… ‘大丈夫そう?’ 「…はい…考えます」 ‘うん、それでいいと思う。ドレスの確認はどうしようか?恭平くんと週末に会うってことなら月曜の仕事終わりにするか?’ 「えっと…湊さん」 ‘うん?’ 「昨日の湊さんの真似じゃないですけど…」 ‘ふっ…うん、何だろ…?’ 「…考えていることと矛盾しているんですけど…ごめんなさい」 ‘うん、僕も夕月も気持ちが動いているんだね…何?大丈夫だよ…言ってみて’
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