揺れる者たち

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「男の子って塗り絵しないの?」 「俺はしなかったな」 「何してたの?」 「分解」 「おお…分解と組み立て?」 「そう」 「それって与えられるの?それとも恭平くんのチョイス?」 「俺だな。小さい時はハサミをふたつにするだけでも楽しかった記憶があるし、小学生の時には壊れたラジオとかおもちゃが親戚中から俺に集まってた」 「ふふっ、修理目的でなくて恭平くんのおもちゃになるんだね」 「そう」 「職人の手先の器用さがあるんだろうね」 「絵は苦手だけどな」 フッと笑ってから彼はスマホを取り出す。 「忘年会24日でいいか?平日だけど…でも玲子さんと俺のそれぞれの忘年会がバラバラにあって他に日がない」 「ふふっ、それってクリスマスパーティーだね」 「玲子さんも同じこと言ってた」 「玲子さんはクリスマスでも何でも年中ビールの人で多分ビールを持って行くから…私はケーキ?食べないか…平日だよね…準備はどうすればいい?」 「デリバリーでいいか?」 「うん、じゃあ玲子さんと私が飲み物だね」 「頼んだ。ゆう、驚くぞ。あの椅子が来てタペストリーと合い過ぎてグレードアップしたから」 「あはは、恭平くん、甘いね。私は一応それでお給料もらってるプロなのよ」 「椅子が来てからのグレードアップまで計算済み?」 「もちろんだよ。椅子の色も勧めたあとだったから」 「ゆう、そんけー」 棒読みの‘そんけー’とともに恭平くんはわしゃわしゃと私の髪を撫でた。
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