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「服装の色だけでは…ほんと、極一般的なことしか言えませんし、これが全てだと思わないで下さいよ?」
そう前置きしてから私はピンクに関する記憶を引っ張り出す。
「ポジティブな意味では幸福感・愛・恋・優しさ・安らぎ・解放感・ときめき・甘い・女性らしい・ロマンティック…ネガティブな意味では依存・優柔不断・甘え・子供っぽいなどがあるかな」
「うん、どちらもイメージできるわ」
「ピンクは子宮の色と言われているので性別に関係なく母体に包まれているような安心感を得られる色だから、男性も女性もファッションや生活にうまく取り入れていけばいい色だと思いますけど…過度にあると不快感を与える色でもあるんですよね」
「私、不快感を与えられていたわ」
「俺は斉藤の制服のように思っているのか、特に何も感じていませんでしたね」
恭平くんがそう言うと湊さんが笑いながら言う。
「立花電工の事務員の制服を作ればいいんじゃないか?黒とかブラウンで」
「あははっ、湊さんに1票」
玲子さんがお行儀悪くカウンターを叩くのを見ながら付け加える。
「好きなファッションカラーからは、今の自分にとって必要で、引き出したいと無意識に思っていることや、こう思われたいという部分が現れるので…ピンクのファッションが好きな人は愛情と関わるんですよ。誰かに無条件の愛情を与える状態にある、もしくは与えるエネルギーが欲しいときかもしれませんし自分への愛情が必要な時かもしれません」
「えーっ…当たってるだろうけど‘今の自分にとって’って、あの子2、3年ずっとじゃない?」
「玲子さん、夕月が最初にネガティブな意味でも言ったでしょ?何年もひとつの色にこだわっているなら何らかの依存と考えられるんじゃないですか?」
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