揺れる者たち

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「痴漢にでもあったのかと嫌などきっを…感じた、夕月が青白い顔で出て来たから…びっくりした。顔色は戻ったね…ドレスはどうする?明日でも明後日でもいいんだよ?」 「行く。もしも合わないようなことがあれば困るから…早い方がいいでしょ?」 「ドレス優先に考えるとそうだけど、夕月優先で考えるとどう?僕は夕月を優先したい」 湊さんは私に微笑むと 「ドレスはわくわくして着なくちゃね。今、夕月がドレスの気分でないなら行かない」 全く急ぐ素振りを見せず落ち着いた声で言い切った。 「行きたい…今朝ね、大使館のホームページを見てたの」 「あのチェアに座って?」 「そう…足を投げ出してね」 「うん、似合う」 「ふふっ…外観とか写真で公開されている部屋を見てわくわくしてた」 「僕が感想のプレッシャーをかけたから予習?」 「そうとも言います?」 「かも」 「今はわくわくだけで特に建物の感想はないんです。ただ‘ここがクリスマス仕様になって、ドレスアップした人たちがさらに彩るんだな’って…わくわくしかないでしょ?誘ってもらって良かったです、湊さん。私、一度行かないって言ったけど一生に一度の経験はすべきだと思うから、ありがとう」 「また行けるよ。もっとカジュアルなセミフォーマルって言うのかな…そういうパーティーもあるからね。僕一人ではあまり行かないけど夕月となら楽しいに違いないからまた誘う」 「それは…」 私は小さく横に首を振ると湊さんに伝える。 「もう誘わないで欲しい…私のやっていることはやっぱり良くないことで…」 「恭平くんに何を言われた?」 隣に立っていた彼は私の手の空のボトルを抜き取ると2本のペットボトルをゴミ箱へ入れ、私の向かいに立って大きな手で私の両手を包み込む。 「僕と恭平くんのどちらもが納得…了承と言う方がいいか…了承した上での夕月の行動だろ?むしろ少々強引に夕月を連れ出している節もある…この短期間に急にね。それを、顔色を失ってしまうほど何を言われることがある?」
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