変わる者たち

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変わる者たち

「夕月、クリスマスプレゼント」 まだクリスマスではないが、週明けに玲子さんから付箋を1枚渡される。 「何…ありがとう?24日18時○○○…」 「私の行ってるネイルサロン予約してあるから行きなさい。ドレスに合うように仕上げてもらって」 「ありがとうございます」 「昨日電話があって、24日の恭平くんのところは無しだからね。なーんか女々しいカビの生えそうな雰囲気だったから私が無しって言ったわ」 「…はい、すみません」 「夕月が出る幕じゃないってだけで、私が恭平くんとその日は飲みに行くから…って隣の大将のところだけどね」 24日は玲子さんと恭平くんの二人飲み会になって、私はネイルサロンに行くことになった。私の方から恭平くんの部屋飲みを断ろうと思って出勤してきたけれど、昨日二人でそう決めていたらしい。 正直ありがたい。いろいろとジェットコースターに乗りっぱなしのような状況で、事務所や現場で仕事している時が一番平穏で幸せな時間に感じる。とりあえず初めてのパーティーだけで、もういっぱい一杯だ。 「今日は玲子さん、車、いいですか?」 「出ない」 「じゃあ、車で納品の立ち会いに行ってきます」 「はーい」 「ゆづちゃん、気をつけてね」 「はい、いってきます」 私は師走の渋滞を見越して早めに事務所を出た。
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