変わる者たち

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「ありがとう、ゆづちゃん。私たちも開けさせてもらうわ」 一瞬後退した二人だが、例年のことだと玲子さんをそのままに静かに包装紙を剥がした。 「夕月、いい趣味だ。今晩さっそくいただく」 「ほんと嬉しいわ。美味しいのがわかっていても自分でなかなか買わないものだもの。ありがとう。私たちは、はい。例年通りです」 「今年も期待しておりました。ありがとうございます」 明子さんたちは毎年4粒入りのチョコレートと決まっている。自分では買わない価格のチョコを口にしながら仕事するのが、この時期の幸せな恒例だ。 「玲子さん、何やってんだ?」 星本さんの声に玲子さんを見ると 「えっ…メイク落とすの?」 どこから出したのかクレンジングシートでメイクを落としている。朝、メイクしたばかりなのに…給湯器のお湯を出してバシャッと顔を洗った玲子さんはデスクの引き出しからメイク道具を取り出した。 「明子さん、見てくださいよーこのギッラギラの中に赤いマスカラとかって、クリスマスイブの今日つけるべきでしょ?明日ももちろん…あははぁ…テンション上がりそう」 「十分上がってるんじゃないですか?でもカラーマスカラは玲子さんお似合いだと思いますよ?」 「でしょ?いいわぁ…つける前からいい」 手慣れた様子でファンデーションを塗りながら言う玲子さんのテンションに‘今年も成功だ’と嬉しくなる。そして‘湊さんに報告しなきゃ’と思った。
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