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「どう?私、綺麗?」
「…玲子さん…その聞き方やめて…子どもの時に読んだ昔話のセリフだよ」
「口裂け女」
「それです」
「じゃあ…どう?綺麗かしらん?」
「しかもこのやり取り二順目なんですけど?お願いだから仕事させてくださいよぉ。今日ネイルに行かせてもらうから残業できないんです、私」
「夕月、適当に綺麗って言っておけばいいんだよ。一度そのテンションに付き合っただけで十分だ。お疲れ様」
「星本さんに落とされた…ワタシテンションダダサガリ…てきとーに綺麗…」
デスクにうつ伏せた玲子さんの上に
「図面置くぞー」
星本さんが図面を置いて現場へと向かった。
「「いってらっしゃい」」」
図面を落とさないように抑えながら起き上がった玲子さんは
「私も残業できないわ…働こ…その前にチョコの誘惑が…」
明子さんにもらったチョコを口に入れてから、やっと動き始めた。
今年一番の冷え込みと言われるクリスマスイブの夜の街は、寒さを感じていない様子の人々で溢れている。そんな中ネイルサロンへ到着して玲子さんの担当者さんに私も施術してもらう。
「明日のドレスはマットな明るいネイビーで何色のネイルでも合うと思います。まだ仕事があることと、このまま新年を迎えることを含めて万能ネイルへ仕上げてください」
玲子さんは、欲張り過ぎや無理難題かと思う希望でもはっきりと伝えるとうまく仕上げてくれると言っていたので思い切って担当者さんに伝えてみた。
「ドレスのお写真はありますか?」
そう言われ一応撮っていた写真を見せると
「お上品な大人ドレスですね。さらに神戸様の雰囲気を活かせるように仕上げたいです。いくつか写真を見ていただいてもよろしいですか?」
担当者さんがオススメだと思ういくつかの例を写真で見せてくれた。
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