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「うんうん」
「ちょっと待って…湊さんも玲子さんもそれはダメ。私は彼女とパーソナルな話を一切せずに一般的なことを言っただけだから、そこまで言っちゃいけないと思う…そこまでは言えません」
「ごめん、夕月…夕月がプロだからこそ言えないよな。悪い」
湊さんは私の頭にまたポンと大きな手を置いてそのままお酒を飲む。
「それに…彼女のパーソナルカラーとしてピンクは悪くないと思うの」
「パーソナルカラーって肌とか髪とか瞳の色で決まるんでしょ?」
「はい、プラスその人との調和です。斉藤さんに似合う色なんだとは思う」
過度だとは思うけど…
湊さんの手が退いたと思えば、今度は恭平くんの手が頭に乗る。
「ゆう…ゆうはあんな女の何倍もいい女で、あんな男より人として何倍も優れている。今のままでいろよ?」
「恭平くんもいい人だよね。玲子さんがお気に入りなの、良くわかるよ」
「でしょ?夕月。恭平くんは現場で人一倍動くところがまずいいわ。それが23、24の時だけでなく今もってところがいい。そしてこうして付き合いもいいしね」
「玲子さんは自分で‘あら探しの好きな私’というくらいの人だから、自分の周りはお気に入りだけなんじゃないんですか?」
「湊さん、大当たり。湊さんも含まれてますよー」
「ははっ、ありがとうございます」
湊さんはそう答えてから
「夕月が玲子さんのお気に入り筆頭だと思うよ」
私の顔を見て優しく微笑んだ。今日の醜態の目撃者がよく知った3人って神様の意地悪かと思ったけれど、3人で良かったのかもしれない。
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