変わる者たち

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「エスコートするの…緊張するほど素敵だね、夕月」 「ぁぁぁぁ…はい、ドレスのおかげさまで…メイクも別人のように仕上げて頂きました…ありがとうございます」 「いつもと違うメイクだけれど、夕月のチャームポイントの瞳は美しく強調されてるね」 「夢唯さん作です。湊さんもすごく素敵…」 「オニキスのスタッズとオニキスのカフリンクス…完璧です。こんな紳士なかなかお目にかかることができません。湊さん、ご存知かと思いますが右腕を夕月さんへ」 「「そうなんですか?」」 湊さんと私の声が揃い顔を見合せ、湊さんの知らないこともあるんだと少しホッとした。 「現在は左右どちらでもよくなってきていますが、一応そちらの方が無難かと思います。古い西洋の文化を話すと長いですが‘right’には右と正しい意味があり‘left handed’という言葉には良くない意味合いもあることを考えていただくのが一番簡単な理解かと思います」 「なるほど。今日は僕の右側だね、夕月。彼女にコートを」 私がコートを着ると湊さんは私の半歩前に立って軽く右肘を曲げた。一気に緊張した私が夢唯さんを見ると彼女はにっこりと微笑み 「男性は半歩女性の前で横にさりげなくさっと肘を曲げ脇を軽く女性の方へスペースを作る…今の状態です。女性はそのスペースにさりげなくスムースに…男性の手と肘の中間よりやや手よりのポジションに手を軽く置く、添えるという感じで、今日なら周りにネイルを見て、という感じに添えるといいですね。お互いに姿勢良く、寄り掛からないで下さい。パーティー会場を出てからは寄り掛かろうが、しなだれ掛かろうが、重なり合おうがご自由ですよ、うふふふ」 最後は悪戯な笑みを私に向けた。いやいや…そんな冗談…一生懸命聞いていた腕の組み方が飛んで行きますってば…
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