8042人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
慣れないドレスと高いヒールでは走ることも出来ずに、とりあえず声を出したけれど廊下に一人で取り残されてしまった。
bubububububu…冷たい空気の中で小さなバッグが振動してスマホを取り出すと…湊さん?
「…湊さん?」
‘ごめん…呼んでたの聞こえたけど…ごめんな、電話で聞くよ。あれ以上一緒にいたら、夕月に触れてしまいそうで…今夜はこのまま帰る’
「…ぁ…」
触れてしまいそうで…カッと顔が熱を持ったのが分かり周りに誰もいないかキョロキョロとする。
‘夕月?まだ廊下なら先に部屋へ入って’
それもそうだと、開いたままのバッグから鍵を出してドアを開ける。
‘鍵、掛けて’
「…はい…湊さん、私もちゃんとお礼が言いたくて」
‘うん…もう聞いたと思うけど?’
「でも…昨日がいい日だったのも、今日がいい日だったのも湊さんのおかげです。本当にありがとうございました。とても楽しい時間でした」
‘僕も楽しかった。また誘っていい?夕月が僕を誘ってくれるのはいつでもいいよ…触れてくれるのも’
「そっ…そんなことは…」
‘してくれただろ?夕月は僕をドキドキさせる天才だ’
最初のコメントを投稿しよう!