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電話でドキドキしたせいで寝つきが悪かったけれど、初めてのパーティーの興奮とドレスや会場の雰囲気での緊張感から疲れていたようで、一旦意識を手放すと一瞬で朝になった。
出勤のためにブラウンのVネックセーターに着替えようと思ったときネイルが目に入り、ブラウンは合わないか…と白のアンサンブルニットを着ることにする。無難に黒のパンツを履けばいいね。私にあまり似合わないのでトップスに黒は着ないけれど、パンツやスカートなら大丈夫だ。
「おはようございます。昨日はお休みありがとうございました」
「おはよ、夕月。写真見たよーこれ。想像以上の美男美女だわ」
「誰が美男美女って?」
「星本さん、見て見て…ジャーン」
「近すぎてピントが合わないって…ああ、昨日の夕月と湊さんか…なんか出来上がったカップルだな」
「どれどれ?…ゆづちゃん、綺麗ねぇ…湊さんもなんて素敵なの…こういう装いも似合う二人なのね」
玲子さんのスマホが星本さんへ渡り、それから明子さんへと渡る。
「そんなことより星本さんに見て欲しい写真はこれです」
私は自分のスマホを星本さんに見せる。
「こういうチェスト、作れます?作れるなら見積り上げて欲しいです。今すぐこれを入れるところはありませんけど」
「全部プリントアウトして、もらう。それからだ。サイズは?」
「メジャーを持って行けてなかったので、私の目測をメモで添えます」
「夕月の目測は確かだからそれでいい」
私と星本さんの後ろで
「こんなキラキラパーティー直後によくそんな真面目に仕事できるわね、夕月。色っぽい話のひとつやふたつしなさいよ。イケメン大使館員に連絡先を聞かれたとかぁ…ダンスを申し込まれたとかぁ…」
玲子さんが一人で妄想を始めた。ダンスなんて無かったし…
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