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‘夕月、食事は?’
「ここで買おうと思ってます」
‘10分そこで待てるか?’
「…待つ?」
‘ピックアップするから…車出した…暖かいところで待ってて。何も食べるなよ’
プチッと通話が切れて画面が暗くなった…と、すぐにまた明るくなる。マナーモードのままの画面に浮かび上がる
‘立花恭平’
の文字。どうしようか…取る?取らない?こんなコンビニの軒下で聞く話ではない気がするな。スマホと見つめ合ったまま着信が止まるのを見届けると、暗くなった画面に今度はメッセージを受信する。
‘ひどいこと言わせてごめん。ただ俺にも渚にも言い逃げするのではなく、話をさせて欲しい’
え?言うだけ言って電話を切ったから言い逃げ?‘終わりました。失礼します’って帰ってきたから言い逃げ?どういうことだろう…もうこんなにすぐに彼らは会って話をしたのだろうか?そして私が言い逃げしたって?
恭平くんのメッセージを見つめたまま、どう解釈するべきかと頭を働かせる。私の対応は失敗?
返信のしようもなく、ただただメッセージを眺めていると
「夕月っ、外にいたのか…」
車から降りた湊さんが足早にこちらへ来る。
「っ…湊さん…わからないよ…」
私は目の前まで来た彼のセーターの袖をぎゅっと握った。
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