進む者たち

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「湊は?来るの?」 「今日帰国になったのでここへは来ないですね」 「一日遅れたのか」 「はい、昨日そう聞きました」 湊さんとは、あのうどんすき以来会っていない。彼はホスピスの設計にこもると言っていたし、私は仕事納めの日に実家へ帰省した。 彼から毎晩電話はあったけれどそう長く話す訳でもなく、ただ少し声を聞いて‘おやすみなさい’と言うだけだ。 そして湊さんは30日にマカオへと飛んだ。1月1日になる瞬間にオープンするという、聞くだけで派手な演出のホテルを建てた建築家と友人らしくオープニングに招かれているそうだ。夜中にオープンなどホテルとして機能するのかわからないが、湊さんたち招待客は30日からプレオープンとして館内の見学を兼ねて宿泊するらしい。その帰国が3日と聞いていたのだが一日遅れると昨日短く電話があった。 「お待たせしました」 「やった…待ってましたぁ、いただきます。何か小さなサラダもお願いします」 「OK」 熱々のマルゲリータが私を誘っている…そう思うほど食欲も湧いてくる。 「…ぉひし…っつぃけど…美味しいです…」 これこれ…これを楽しみに2日間百貨店をうろうろしていたのよ、私は。 とてもシンプルなグリーンサラダの上に、トマトの塩漬けにニンニクとハチミツを加えたものがたっぷりと乗せられたサラダも美味しい。スパークリングのおかわり必須だ。 玲ハウジングは明日が仕事始め。今年も現場はもちろん、玲子さんや明子さんのサポート業務も頑張ろう。 「夕月ちゃん、湊と付き合ってる?付き合ってない?」 「付き合って…ないです」 「この前二人を見た時、湊の目元は蕩けてたけどなぁ…もし付き合ってって言われたらOK?」 年末から何度か考えたことだ。 「…それは…」
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