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「今年はインプットの一年にします」
しーん…
「夕月…もう一言皆さん聞きたいみたいだね…頑張って」
湊さんが笑いながら言うと
「語れと言ったのに短いんだよ。やり直し」
「星本さん…やっぱり厳しい」
「愛情込めて育ててる」
「同じことを何度も言うのは年寄りの特徴らしいよ?」
「上等じゃねぇか、何度でも言ってやる」
「開き直りもうまくなるんだね」
「羨ましいのか?」
「ちょこっとだけ」
「そういうところが可愛いじゃねぇか、夕月」
星本さんが私の頭を両手でわしゃわしゃグシャグシャとする。
「パワハラのちセクハラ」
「夕月、訴えてもここの誰もセクハラと証言できないぞ。親子のじゃれあいか漫才にしか見えん」
宮田さんの言葉に拍手が起こる…何てことだ。
「はい、夕月。やり直し」
「はーーーーい、自分の仕事に関することもそれ以外のことも、五感をフルに使って吸収する年にしたいです。だから皆さんの現場に必要以上に、邪魔なくらい行くかもしれませんがよろしくお願いします」
盛大な拍手とともに星本さんのゴツゴツした手が再び私の頭をくしゃくしゃにしたので合格なのだろう。
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