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「そんなこともありません」
「私は恭平くんを信じていますよ?そんなことはしないわよねぇ?」
「はい」
明子さんは自信満々に続けた。
「だってあの‘渚さん’という彼女がいるものねぇ」
「明子さん、そうなのか?」
「そうですよ、宮田さん。年末に会社まで来られたんです、渚さんって方が。ゆづちゃんと恭平くんの仲を心配したみたいでね」
「そうかそうか…悪いな、恭平。じゃあ会った日は若者のノリってやつか」
そこから皆さんの若い時の武勇伝と言えない武勇伝が続く。これはこの年頃のノリってやつか…そう思うけど口にはしない。皆さん楽しそうで何よりだ。
あっという間に2時間が過ぎて、さっと解散となる。
「夕月タクシー、先いいよ」
「玲子さん、夕月は僕が送るんで先に乗って下さい」
「きゃーっ、じゃあ遠慮なくお先に。夕月は明日の出勤に間に合うようにだけ帰してもらえばいいので、湊さんよろしく」
「ははっ、必ず」
「玲子さん…2時間以上ずっとそのテンション、すごいですよね…」
「一晩中いけるけど?夕月、確かめたい?」
「丁重にお断り致します。おやすみなさい、玲子さん」
玲子さんは投げキッスをこちらへ投げて帰って行った。
「謎だ…誰にあの投げキッス?」
「さあ?夕月じゃないか?ふっ…ここ…くしゃくしゃ…」
湊さんは星本さんのせいでくしゃくしゃなままの私の髪に丁寧に指を通した。
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