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「ごめんなさい。やっぱり全部キャンセル…で…お願いします。パーティーにも行かないしデートもしない」
「ゆう?」
「玲子さん、ありがとう。ご馳走さまでした」
私が椅子から降りながら言うと、隣の湊さんがさっと私の椅子を引き自分も立ち上がる。
「送る。玲子さん、次は僕がご馳走しますんで、今日はお願いします」
「はいはい、お任せくださいな。それより夕月をお願いしますよ~‘私も二股みたいなことできないわ’って立ってるんで」
「そうですね…今、今夜最高に綺麗な表情でしたよね。お任せください」
ハンガーから私のコートを取り私に着せてくれる湊さんは何を言っているのだろう?今夜の彼はおかしい。
「ゆう、二股なんて誰も思わないから土曜日な」
「いやだ」
「はい、出た…夕月の利かん坊」
「玲子さん…私、男の子じゃないもん」
「はい、続けて全力自己主張。かわいーねー」
「酔っぱらい」
「はいはい、酔っぱらいですよぉ。お子さま夕月はホットミルクでも飲んできなさい。じゃ、湊さん、よろしく。私はこっちの青い男の子にちょっと言い聞かせますんで…」
湊さんに肩を抱かれるように店を出そうになり、慌てて大将夫妻に
「今日もとても美味しく頂きました。ありがとうございます。おやすみなさい」
と声を掛けてから地下にある店を出た。
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