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「…ありがと…直したつもりだったんだけど…」
「うん、この辺りに星本さんの愛情が絡まってたから…僕の愛情でほぐしておいた」
「……ご親切にありがとう?」
「皆のテンションだかノリか?アルコールより、あれに飲まれそうだったよな」
「ほんと、そう。皆さんが楽しそうで仲良くて良かったけど」
「それが一番」
「私、1年目に星本さんにいっぱい現場へ連れて行ってもらったの。今はもうたくさんの職人さんと仲良くしてもらえるようになったから、たくさん現場へも押し掛けようと思う」
「それがいいな。僕の現場へも歓迎するよ」
そう言った湊さんは時計を見て
「送るよ、夕月。もし酔ってもいなくて、現場を見るくらいの元気があるなら1ヶ所案内するけど?」
「こんな夜に入れるところがあるの?」
「現場ではないからな。ここから15分ほど歩けば僕のマンションがある。部屋を見てと言うのではなくてマンションにジムやカフェバーがあるんだ。五百旗頭組って知ってる?」
「はい、もちろん」
「そこからの依頼で基本的なことは決まっていたマンションを僕が仕上げることでデザイナーズマンションとして売り出した物件」
「わぁ…」
「別の日に昼間に見てくれてもいいよ。僕の事務所もあるし」
「あっ…そっか…住所だけ見たことありますね、事務所とお部屋が同じマンション?」
「うん、全然別の階だけどね」
「じゃあ…カフェバー見学で1杯だけ飲んで帰ります」
「ん、行こうか。エントランスからメジャー出してもオペラグラス出してもいいよ…コンシェルジュはいるけど」
クスリと笑って私の手を取り指を絡めて歩き始めた。私はドキドキを隠すように話続け、湊さんはマンションのことをあれこれと教えてくれた。
「マンション見えた…五百旗頭組の息子の車が帰ってきたな、あれ」
「同じマンションにお住まいなんですか?」
「うん。長男が同じ階にいる。カフェバーは高層階だよ」
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