8041人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
「夕月、余計なお世話でおせっかいだとは思うけど」
「…何かな?」
何を言われるのか…と湊さんの言葉に僅かに動いたであろう私の頬を、彼は親指でそっと撫でてから
「夕月はきっちり一人で乗り越えたんだから、万が一同じようなことが起こったら、次はもう一人で対応するな」
「同じようなことっって…呼び出し?」
「そうだ。その吉川っていったか?」
「うん」
「彼女は夕月の職場を知っているんだから、可能性はゼロではないだろ?」
「私と恭平くんに接点がなくても?」
「普通は来ない。だけど、べろんべろんになるほどの飲み会で誰が何を言うかわからないだろ?」
誰が何を言うんだろう…わからないまま曖昧に頷いた。
「僕にもわからないけど万が一だよ。僕に連絡くれるのがもちろんいいけど、会社に来るんだから玲子さん、星本さん、明子さんの方が近くにいるんだ。今日の様子でも3人は夕月の味方なのはあきらかだから、必ず誰かと対応するか誰かに任せること。いい?」
「はい」
もうないと思うけど、湊さんがあまりに真剣に言うからちゃんと答える。
「久しぶりのカクテル、美味しかった…ありがとう、湊さん」
「うん」
「心配もありがとう。誰かに頼って…湊さんにも連絡する」
私のその言葉に彼は目尻を下げて、そっと私の頬を撫でたあと首に手のひらを添えて親指で再び頬をなぞる。
最初のコメントを投稿しよう!