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送るよ…と言った僕の声は聞こえているはずなのに身動きひとつしない夕月の頭をそっと抱え込み、チュッと唇を落とす。
「夕月…どうした?」
それから耳を食みながら
「何言っても大丈夫…聞かせて…」
愛しい彼女に懇願する。
「…朝…って遠い…朝なんだ…ね」
「だめ?」
「…っ…だめっていうか…えっと…ドキドキで頭が動いてないんだけど…」
「うん」
「今は木曜…?」
「うん、あと1時間ほどで金曜だ」
「…金土日…?3泊も?」
「それ以上も歓迎する」
「…ごめんなさい…こういう時…どうすればいいのかわからない…」
「僕に身を任せてくれるだけでいい」
「そっか…それね…私の苦手なことかも…」
「そうだな。夕月は言われるがまま流されるというのではなく、自分で一度考えるからな…それは長所だと思う。だからこそ、たくさんの人と互いに満足出来る仕事が出来ているんだから」
「うん…」
「でもプライベートでは…僕の前でだけは頭を悩まさずに心と体の感じるままに動いてくれたらいい。僕と夕月の本質的なところ…本能的なところで理解しあおう…ずっと」
「…ありがと」
「夕月は明日も出勤だから荷物にならないように、何も持たなくていいよ。まだ残業ないだろ?」
「うん」
「明日終業時間に迎えに行く。そこから一緒に買い物しよう」
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