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恥ずかしさより安心感があった。
「大丈夫…上に玲子さんがいるの分かっていたから‘事務所へ’って言ったところへ2人が登場」
「約束したもんな…昨日話しておいて良かった」
「何となく二人の話は読めたけど、どこの馬の骨かもわからない人間を事務所へ入れないわ」
「そうですよね…すみません、玲子さん」
「あーそれも違う。夕月が私を呼ぶつもりで連れてくるのは正解」
「昨日僕が万が一を想定して夕月に言ったんです‘一人で対応するな’と」
「さすが湊さん。ありがとうございます。夕月が自分で思っていた以上に緊張感があったって顔してるんで、後はお願いします。夕月、スマホ忘れてたわよ」
「あ…」
「鳴ってたのは湊さんから?」
「はい、僕です。パーキングに着いたって伝えたかったけど夕月が出なかったので来てみたんです」
「…あの…」
「何でしょう?あなたが用のあるような場所だとは思えませんが?リフォームのご依頼にしてもアポなしでこの時間はあり得ない。お引き取りください」
玲子さんが私と湊さんを押し退けて降りてきたので、私たちは逆に2段上がった。湊さんは私の腰に腕を回して
「えらいね、夕月。よくできた」
と耳元で囁く。
「出来る子だから…学習能力あり…でも、飲み会のノリを聞いたからか…この前よりちょっと怖いと思っちゃた」
私が小さく答えると湊さんの腕に力が入りこめかみにキスが降ってくる。そして玲子さんは吉川さんを見たまま言う。
「当然よ、夕月。素性のわからない相手ほど怖いものはないわ…特に相手が自分のことを知っているってね…怖いわよ。帰る?いいわよ?」
「いえ…玲子さんも心配だし…」
そう言って湊さんを見ると彼はとても低く言った。
「玲子さん、見届けます」
カッコいい…
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