歩む者たち

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「渚チャンってね、クリスマスイブの電話で名前を聞いただけで、どこの誰だか私達は知らないわけ。今すぐ帰って…って…立花くんの彼女?不安があるなら大好きな彼に取り除いてもらいなさい。うちの社員には何も関係ないことよ」 「はい…ゆうさんはその人と付き合ってるんですか?」 はいって…この女、恭平くんと付き合っているのか? 「はあぁぁ…その人って…あなたいくつ?立花くんと同級生じゃないの?」 「同級生です」 「いい年して見知らぬ人への言葉使いがわからないのね。それに夕月が彼と付き合っていようが、私と付き合っていようが、誰と付き合っていようがあなたには何の関係もないし、迷惑も掛けない。大迷惑なのはあなたよ。少なくとも夕月は立花くんと付き合っていないと断言できるわ。ところで見知らぬあなた、名刺ある?頂けるとありがたいわ」 名刺の会社にリークする気満々の玲子さんに女ははっきりと答えた。 「名刺はありません」 ‘玲子さん、渚は今仕事をしていないらしいです’ 「そう。じゃあ私達は彼女の何を信じて話せばいいの?会社に迷惑を訴えられないなら警察?」 「そうですね。また待ち伏せされるようなことがあれば警察でいいと思います。玲子さん、今の録音は日時特定に必要なので保存でお願いします」 そう言いながら僕はスマホを受け取り通話を切った。もうこれ以上僕たちが電話で話す必要はない。
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