接近者たち①

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「ううん、何でもないです…ふふっ、ご機嫌はご機嫌だからお気遣いなく」 「どうしてご機嫌?」 「美味しいお酒と美味しいお寿司でご機嫌です…美味しかった…」 日本酒のせいか、ここの暖房のせいか喉が渇いたので水をこくこく…二口飲んでから 「はい、お話どうぞ」 待ってくれていた湊さんの方を向く。さっきまで私の右隣にいた人が正面に座っている…そんなどうでもいいことを考えながら彼の言葉を待った。 「うん。夕月、クリスマスパーティーには行こう」 「いや」 「最初に僕が誘った時、大使館の中が見られるのがいいと思ったんだろ?」 「でも今はいらない」 「毎年クリスマスツリーのオーナメントや部屋のコーディネートも変わっているから楽しめると思う」 「それでも行かない」 玲子さんが言っていた‘利かん坊’という言葉を思い浮かべながらも断固拒否をするが、湊さんは嫌な顔ひとつせず私に言う。 「僕と夕月が一緒にパーティーへ行くことは悪いことなのか?」 彼が私にそう聞いたとき、彼の珈琲と私のカフェオレが運ばれてきた。
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