接近者たち①

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「そう…嫌じゃなかったのに嫌になった…恭平くんのせいです。恭平くんが悪い」 頭ではいろいろとわかっていながら人のせいにしてみる…可愛いな。 「だから玲子さんが恭平くんに‘言い聞かせる’って言ったんだよ。今頃反省してるんじゃないか?」 「…そうなの?」 「確かめる?電話しようか?」 「ううん、いらない…玲子さんと湊さんがそう言うならきっとそうだからいいです」 こういう風に人のことは素直に受け入れるのに… 「でもパーティーは行かない」 自分のことはこれだ。最高に可愛い駄々っ子なんだ。 「夕月は僕を‘湊さん’と呼ぶしパーティーではビジネスパートナーと思われるはず。夕月が気にすることは何もないし、ただ僕の設計した物を見て、館全体の今だけのデコレーションを楽しめばいい。誰もが得られる機会ではないから、これは夕月に訪れたチャンスだ」 「チャンス…」 「人間が成功する条件というのは個性的なタレント(才能)それを磨くためのハードワーク(努力)そして人知を超えたチャンス(運)の3つの組み合わせだと言った人がいるけど、僕もその通りだと思う。いつでもどこでも自在に組み合わせることが出来ればいいけど、そんな人間は存在しない。それに‘運’というのは‘運ぶ’と書くだろ?自分が動かなければ運も動かない」 「…どんどん動くべき…」 「そう。よく分かっているじゃないか、夕月」
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