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夕月を送ってから自分のマンションに到着すると、すぐに夕月から電話がかかってきた。
「ん?部屋ダメか?迎えに行こうか?」
靴も脱がないままそう応答すると
‘どうしよう、湊さん…’
少し鼻声の夕月が僕を呼ぶ。
「どうした?」
‘今、調べたんだけどね…’
はっ?鼻声は残っているが泣いている様子はなく夕月はこう続けた。
‘うちにある彼の物って処分するといけないんだって…損害賠償責任とか器物損壊罪とか可能性があるって…すぐに捨てようと思ったけど一応調べたの…やだなぁ…今すぐ捨てようと思ったのに…やだやだ…触るのも嫌だし見るのも嫌…’
「夕月、大丈夫…落ち着いて聞いて…大丈夫だから」
‘…はい’
「まず夕月、えらいな。さっさと明日を向いていてえらい」
‘でしょ?もうね、私は次のステップへ進んじゃうんだから’
「次のステップ…そうだな。僕も手伝えることは手伝うから…で、問題の荷物って多いの?」
夕月の言動が僕より先に進んでいて驚いたが、すぐに僕に電話をしてきてくれたんだからすぐに助けてやる。
‘そんなに多くはない。ショップバッグ2袋ほどかな…’
「そうか。着払いで送るのが普通なんだろうが…逆に夕月は大切な荷物があっちにあるってことは?」
‘ない’
ない?ないのか…それはそれとして普通に返すのも気に食わないな…恭平くんに預ける?会社に送りつける?僕が届ける?玲子さんか…どれがベストだ?
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