目撃者たち

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「とにかく…別れてという申し出なんでしょ?オーケーよ」 私が太一に言うと斉藤さんがペコリと頭を下げた。 「神戸さん、太一くんを取っちゃってごめんなさい」 「芹那だけが悪いんじゃないだろ?俺が選んだんだ」 「でも…」 グーの両手を顎のラインに当てる人…現実にいるんだ。 「子ども出来て良かったわねと言ったのは、おかげでこれ以上二股を続けられなくて良かったってこと。お幸せに」 私は席を立ち、会社から程近いカフェを出ようと入口を目指す。手に持ったコートを着ようかと立ち止まると、閉まったままの目の前の自動ドアに私と…よく知る3人が映る。 「はぁ…見てました?」 そう言いながら私がコートを着ようとすると、すかさず私のバッグを持った男とコートを広げて袖を通してくれる男。そして私の頭を両手でぐしゃぐしゃと撫でる女。 「しっかり見ちゃった聞いちゃった。あの二人も出てきそうね…さっさと出るわよ、夕月」 女が私の前で自動ドアを開け、二人の男が私をエスコートするように後に続く。ここはドラマのシナリオ通りじゃないんだね…見知らぬイケメンに‘大丈夫ですか?’と声を掛けられて新しい恋が始まるんじゃないの?そう思ったとき頭の横断幕が点滅した‘もう男イラナイ’ カフェを出てコンビニを通り過ぎ大通りに出てその通りを渡ると会社だけど 「もう仕事しませんよ?駅、あっちなんですけど…」 会社に向かっていそうで足を止めて抵抗する。 「お寿司ご馳走してあげるわ。大将のお寿司」 「…行きます。ありがとう、玲子さん」
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