接近者たち①

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何も食べていないという湊さんがコンビニに入るので用のない私も車から降りる。私はコンビニが好きだ。正確に言うと、コンビニという空間が好きだ。 これだけのスペースで日用品から食品、酒類…全てが揃い、しかも背伸びしないと手が届かないような陳列もなくこれだけの品数というのは何度見ても感動的だ。 用もないって思っていたのに‘冬限定’の文字を次々にキャッチする自分の瞳が恨めしい。限定だけで迷うほどあるんだよね…って、去年も思ってたよね…はぁ…今年の冬はこれ、夏はこれって感じで恋や愛を陳列してくれたら…前もって‘限定’と知りつつ手軽に手に取ることができるのに…昨日のように眠れない夜にでも24時間いつでも買いにくることができるのに… 「それ買う?一緒に買うよ」 「…あっ…」 「違う?」 手に持ったチョコが急に消えて現実に戻されびっくりしただけだ。 「ううん…違わないけど、これもいいですか?」 もう一箱チョコを見せると 「いい。僕も一粒もらう」 湊さんはそう言って私の頭を撫でてからレジへ向かう。私はもう一度、どこかに恋や愛が並んでいないか探すように、店内を無駄に歩いて出口へ向かった。
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