接近者たち①

15/28

8030人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
「…ということで、今日ゲス男には、私が昨日あのカフェに偶然居合わせて私の指示でゴミを返すってことにするからね。恭平くんがいたとなったら、このあとびょーんと遠くに飛ばすのが夕月のせいみたいになるでしょ?そのあたりスマートにやってよね。ゲス男からもピンクさいとーからも夕月が恨まれる筋合いはないんだから」 ‘…’ 「うっそ…はやっ。恭平くんやるね~すごいすごいっ」 玲子さんが足をバタバタさせていると 「「おはよう…」」 星本さん夫妻が不思議そうに玲子さんを見ながら出勤してきた。 「おはようございます。ここの掃除は終わってます。下のブラインドだけ上げてきます」 「ありがとう」 まだ不思議そうな明子さんに声を掛けて鍵だけを持ち1階へ降りると、通りから営業中だと分かるようにブラインドを上げてドアには再び鍵を掛け2階へ戻る。1階でインターホンを鳴らしてもらえば2階で出られるので普段はこんな感じだ。 「じゃあ、あとで」 あとで?恭平くんが来るの? 「そんなに朝から何を騒ぐことがあるんだ?」 星本さんに聞かれて玲子さんは、あのねの‘あ’という口を開いたまま私を見た。 「いいですよ。どうせ分かることなんで」 私がそう言うと玲子さんは星本さんと明子さんに昨日からの出来事を話す。ここでゴミ返却するならバレるからいいんだけど…玲子さんのテンションが高すぎてついていけそうにない。
/435ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8030人が本棚に入れています
本棚に追加