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「すみません…謝る前に夕月が席を立ってしまったので…」
「おい」
太一の言葉に被せた恐ろしく低い湊さんの声がすぐ隣から聞こえ、今日一番の驚きで湊さんを見ると彼の瞳は鋭く真っ直ぐに太一を捕らえていた。
「最低以下の言い訳をして恥ずかしくないのか?部外者の僕が聞いても不愉快だ」
「…言い訳では」
「ないとは言わせないわよ?昨日夕月が立った時、あなたは立ち上がりもしなかった。それがあなたの本質、本心、本性よ」
玲子さんはそう言うと、はぁーっと大きなため息をつき
「興ざめだわ。意味のある言葉が聞けるとは思えない。これ以上は時間の無駄ね」
と、さらに大きな独り言を言うと
「夕月、言いたいことは?」
体ごと私に向いた。えっ…私、発言権いらないけど…
「…えっと…島への引っ越しがあるなら荷物を今日返して正解ですね…はい…良かったです」
「「「「ぶっ…」」」」
「…玲子さんが急に私に振るから悪いんです…言いたいことないもの…昨日で完結しているので…さようなら。もう私の名前を呼ばないで」
私がそう言うと星本さんがドアを開けて彼に言った。
「そのゴミ持ってとっとと帰ってくれ」
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