接近者たち①

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5時前になって作業着に身を包んだ恭平くんが事務所へ来た。 「お疲れ~ご活躍さま、恭平くん」 「混んでたぁ、疲れました」 「12月の金曜だもの。バームクーヘン食べる?」 「いただきます」 玲子さんと恭平くんのやり取りを聞いて 「珈琲入れましょうか?湊さんも…明子さんはもう退社ですよね」 「そうね。お父さんは直帰だし、今日は電車で帰るわ」 「僕ももうすぐ出るから珈琲はいいよ。夕月、終わるだろ?」 「はい、メールの返信が2件で終わります。じゃあ玲子さんと恭平くん、珈琲入れるよ」 「私、紅茶にして欲しいな」 「了解です」 私が玲子さんに紅茶、恭平くんに珈琲を出した頃、明子さんは分厚いダウンコートを着て帰って行った。 「何で湊さんはデスクにいるの?」 「今日一日ここ借りた」 「何で?」 恭平くんのその質問には玲子さんが懇切丁寧に自分の意見と見解をたっぷりと入れて‘ゴミ’と‘ゲス男’を連発しながら答える。 「聞こえてくる負のワードが多すぎて、このメールお通夜みたいなんだけど…」 私の呟きにクスッと笑った湊さんが私のパソコン画面を覗き 「本当だな…依頼を受けるメールなのにお断りメールのトーンを感じる。逆によくこんなの書けたよな」 さらにクスッと笑う湊さんに 「修正して送ってください。私、カップを片付けます」 「僕が送っていいのか?」 「内容はわかるでしょ?送ってもらっていいです。カップもらいますね」 私が2つのカップを手に立つと、湊さんがすぐにその椅子に移動した。
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