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「それはわからないけど、ゆうが行きたいところは?」
「それっていつ?」
「明日」
「うーん…どうしようかな…」
「何を迷ってる?言ってみ?うん?」
「うん…やりたいことは部屋の模様替えなの」
「ゴミ出ししたからな。手伝おうか?」
「まだ完成図が描けてないの」
「じゃあ、モデルルームやショールーム、あとは雑貨店巡りするか?」
「いいの?」
「いい」
「めっちゃ長かったり、不審者みたいになるけどいいの?」
私がそう言うと玲子さんがケラケラと笑う。
「恭平くん、ぜひ夕月とそういうところ行ってみて。夕月を見てるだけで時間が経つよ。で、時々他人のフリがしたくなるわ」
「ははっ、そうなの?」
「詳細は言わないわ。見てのお楽しみよ」
「玲子さんが大袈裟なだけだと思うんだけど、前に一緒に大型輸入家具店に行った時に‘不審者夕月’って私のこと呼ぶんだよ…ひどいでしょ?」
「大袈裟じゃないわよ」
「じゃあ、怖いもの見たさで明日の行き先は決定。朝、迎えに行く」
飲んだあとに送ってもらったことがあるから彼は私の部屋を知っている。
「夕月」
私のコートを手にした湊さんが私にそれを手渡しながら
「夕月は恭平くんと出掛けるのも僕とのパーティーも、どちらも半分仕事って感じだな」
と笑う。そう言われるとそうでデートなんて言われるよりも気が楽だ…私は湊さんの一言ですっかりそう思ったんだ。
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