接近者たち①

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「じゃあ、いってらっしゃい。夢唯さんによろしく」 「めいさん?」 「ドレスショップオーナーで私の知り合い。私より若いけど…って私の周りで年上って星本夫婦だけだわ」 そう言いながらメガネをかけた玲子さんはもう少し仕事をするのだろう。私たちは3人で事務所を出て、ふと気になった。 「恭平くん…怖いもの見たさって…さらっと失礼なこと言ってたよね?」 「聞き間違えたんじゃないか?俺、可愛いもの見たさって言ったけど?」 「ウソだ…」 「小さいこと気にすんな。ほら」 湊さんの車の助手席を開けて私を押し込んだ恭平くんは 「仕事着のドレスを買うんだろ?湊さんにたっかーいの買ってもらえよ」 と言ってからドアを閉めた。運転席側からエンジンを掛けヒーターをつけた湊さんはシートに座らずドアを閉めて外で恭平くんと何やら話をしている。全く聞こえるはずもないが何となく見ていると二人はガシッと握手をした。何か仕事が決まったのだろうか… 「お待たせ、夕月」 すぐに動く車から恭平くんに手を振りドレスショップへ向かう。恭平くんが言っていたように12月の金曜のせいか車が多そうだ。イルミネーションとまではいかなくても、あちこちの店先のクリスマスツリーやオーナメントが次々と目に入ると道行く人も楽しそうに見えてくるのが不思議だ。一年で最も多くの人が浮かれる季節に私は捨てられたんだね…
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