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「僕、ドレスのデザインは専門外だけど?」
「お直しだからさっき夢唯さんとお話されていた感じでお任せします。自分のドレス姿が客観的に判断出来ないので」
「言ったね、夕月?」
「言った…とは?」
「任せる」
「はい、言いました。お願いします」
「よし、じゃあ真っ直ぐ向こう向いて立って…夢唯さん、オーダーするのでお願いします」
「ありがとうございます。ご希望をお申し付け下さい」
「基本はこのデザインのままで、そっちのマットな艶感の生地で作って下さい。しっとりとした落ち感があっていい…」
「はいっ?湊さん?作る?ケープをつける長さとかお任せって…」
話が違うと振り向いたが
「夕月、動かないで」
湊さんに肩の向きを戻される。
「レースでなく同素材でケープ風につけるとどうかと思うんですが?」
「ロイヤルファミリーの雰囲気が出るほどお上品さがありますね」
「じゃあ、同素材のケープ風のものをつけてもちろん取り外し出来るようお願いします」
「かしこまりました」
「それで重く見えないようにスリットって左右決まっていますか?前に入れるイメージなんですが」
「前というのは…歩いて膝が出るほどはおすすめできませんが、膝から下でしたらこちらへ。おっしゃる通り軽やかになりますね。これだけお伺いすると作れます。夕月さん、失礼します」
夢唯さんが私と一緒に広い試着室内に入ってドレスを脱いだ状態で細かく採寸をする。そして採寸を終えると
「これでヒップの位置まで考えて一番綺麗にドレスが落ちるように作らせて頂きます」
夢唯さんが湊さんに腰を折った…フルオーダーですものね…
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