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「夕月~また膨れてんぞ」
もう何度目か…湊さんはご機嫌で私の頬を人差し指で押す。
「膨らませてるの」
「自分の可愛さを理解していてよろしい」
「ワケわかんない」
「わかんなくても腹はへっただろ?何の気分?」
「湊さんを困らせたい気分」
「奇遇だな、僕も夕月に困らされたい気分だ」
「いーっ…だ」
口を大きく両横に広げ目をぎゅっと瞑って湊さんに向かってそう言うと
「最高級に可愛いな、それ」
さらにご機嫌に返事が返ってくる。
「湊さん、老眼鏡買ってあげようか?」
「夕月が買ってくれるなら悪くないな…僕、夕月より視力いいけどな」
「…疲れた…負けた気分…何でもいいから食べさせて…お寿司以外で」
「昨日大将の寿司だったからな。手軽に洋食屋にするか…」
そう言いながら混雑した道路で彼はスムーズに車線変更をした。完敗だ…
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