接近者たち②

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「夕月、早くしないからソース落ちてる…もっとたっぷりソースつけて」 もう何も言うまい…湊さんの言う通りたっぷりとソースをつけて彼の口へとフォークを運ぶ…パクッ…美味しそうにモグモグする彼に気になることを聞いてみる。 「湊さんのお髭があったりなかったりっていうのは何で?」 今日はいわゆる‘スポーツ髭’という3、4ミリほどに整えられた短い髭のある日だ。 「成り行きで、伸びてきたらそのまま整える日もあるし、剃ってしまうこともあるだけで特に理由はないな」 「気分?」 「そうだな。夕月が髪をまとめる日があるのと同じじゃないか?」 「うん、なるほど…微妙に残す形を変えているところが男のおしゃれと言えるのかな…私だったら面倒になりそう」 「今さらだけど似合っていないならやめるわ」 「似合ってると思いますよ?あっても無くてもいい男ってすごいですね」 「どうも…パーティーにはどうしようか?」 「迷うところですねぇ…左右半分ずつにします?」 「ははっ、それで夕月がパートナーとして腕組んで歩いてくれるならオーケーだが?」 「…真面目に想像しましょう…二人でドレスアップして並んだ時の湊さんの顔に…」 彼は全然考える様子はないが私は真剣だ。フルオーダーのドレスのみではなく、コートや小物類までトータルで揃えてしまった湊さんが、当日恥ずかしい思いをしなくていいように完璧にベストパートナーとして魅せようじゃないか… 「ありにします?」
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