接近者たち②

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「了解。長さは?」 「…」 「ん?夕月好みに仕上げるが?」 「パートナーを立てて頂いているんでしょうけど…お髭のある、無しで私自身は湊さんの印象が変わらないんですよね」 「どうでもいいと言ってる?「ませんっ」」 私が言葉を被せると、また彼は愉しそうに笑い顎の髭を撫でた。 「夕月の僕の印象って?」 「湊さんはフラットな人という印象です」 「フラットな人…いい意味に受け止めていいのか?」 「はい、フラットな人って…心に余裕があって視野が広くて決断力もあるとかトラブルに対処できるイメージで湊さんはそんな感じ。だから仕事のこともプライベートなことも話しやすいです」 「昔はそうでもなかったけどな…この数年は似たようなことを言われることがある。その時は‘僕にはいいヒーラーがいますから’って答えてる」 「そうなんですか?カウンセリング受けてるんですか?」 「受けてない。自分に合った癒しがある」 「おお、素晴らしい…それでフラットな気持ちをキープ出来るんですね」 「そう。夕月っていう最高のヒーラーがいる」 「…おもちゃを見る目?」 何を言うんだ、湊さんは。おもちゃを見る目を確かめてやろうと彼の目をじっと見ると…ほんの僅かに彼の目尻が下がったと同時に瞳が色濃く熱を帯びたように感じ慌てて目を逸らす…ことは出来なかった。
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